BLOG & COLUMUN[ ブログ&コラム ]
「ぼーっとできる場所」が、家には必要です。
「ぼーっとする時間なんてもったいない。」
いつから私たちは、そう思うようになったのでしょう。
何かをしていないと落ち着かない。
予定を埋め、効率を求め、時間を無駄なく使うことが良いことだと教えられてきました。
でも、人は機械ではありません。
心は、走り続けることはできないのです。
だから私は、家づくりを考えるとき、一つの問いを大切にしています。
「この家には、何もしない時間がありますか。」
窓から差し込む朝の光を眺める時間。
雨の音を聞きながら、温かいコーヒーを飲む時間。
ソファに座り、何も考えずに外を眺める時間。
子どもが遊ぶ声を聞きながら、静かに笑う時間。
その時間には、生産性はありません。
誰かに評価されることもありません。
けれど、その何気ない時間こそが、人の心を少しずつ満たしていくのだと思います。
家は、便利であることも大切です。
暖かいことも、丈夫であることも、美しいことも大切です。
しかし、それだけでは「帰りたくなる家」にはなりません。
人は、設備に癒やされるのではなく、そこで過ごす時間に癒やされるからです。
建築家が考えているのは、部屋の数ではありません。
「この窓から見える景色は、10年後も心地いいだろうか。」
「夕暮れの光は、この場所をどんな表情に変えるだろうか。」
「ここに座ったとき、この人はホッと息をつけるだろうか。」
そんな、図面には描ききれないことを考え続けています。
家づくりとは、建物を設計することではありません。
人生に流れる時間を設計することです。
忙しい毎日の中で、立ち止まる場所がある。
何もしないことを許してくれる場所がある。
そこには、不思議と家族の笑顔が集まり、何気ない会話が生まれます。
何年経っても、「この家にしてよかった」と感じる理由は、
性能の数字ではなく、その時間の積み重ねなのかもしれません。
だから私たちは、間取りを考える前に、暮らしを考えます。
その家で、どんな時間が流れてほしいのか。
その答えを見つけることが、家づくりの始まりだと信じています。
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